以前『妊活アドバイザー直伝:ネイリストさんに知ってほしい大人の保健室』の②と④の時にもお話しさせて頂いた卵子の話。今回は卵子からみた妊娠の過程についてお話しさせて頂こうと思います。
「卵子と精子が受精して妊娠に至る」ことは何となく漠然とは知っているものの、昔保健の授業で習った以上のことは詳しく知らないと言う方がほとんどではないでしょうか?
しかし、この卵子の発育や状態が私たちの妊娠に大きな影響を与えます。最近では、「卵子老化」というワードも、テレビや雑誌などにも取り上げられていますよね。
卵子は180日以上前から排卵に向けて準備を行います。その為、今排卵する卵子は、この半年間の食事や生活の影響を受けている事になるんです。
卵子の質に関しては、まだまだ分からない事も多く、未知の世界ではありますが、いつか妊娠したいと思った時に、卵子の質を下げない事はとても大切です。
卵子(原始卵胞)の数は産まれた時に決まっている
女性の原始卵胞の数は胎児の時が一番多く、その後は増える事なく減少を続けていきます。その為、卵子の老化なんていう言葉も産まれました。
ちなみに卵胞数は35歳を超えると減少率が加速すると言われています。その為、35歳を過ぎるとより妊娠しにくくなってしまうのです。
卵巣腫瘍の手術をした場合や子宮内膜症で卵巣にダメージを受けた場合は、そこから卵胞の数が急激に減る事もわかってきています。
その為、いつか妊娠を希望している場合で、卵巣腫瘍の手術を受けたり、子宮内膜症で卵巣に影響がありそうな場合は、きちんと不妊分野に詳しい医師に一度相談することが大切になってきます。
卵子は1年近くかけて排卵の準備をします
卵子って実は1年近くかけて排卵の準備をします。その為、今月から卵子に良いと言われる生活に変えて、いきなり翌月の卵子の質がよくなるわけではありません。
妊活や不妊治療を考えた場合は出来れば1年前から、遅くとも半年前からは生活習慣や喫煙などの見直しをされることをお勧めします。特にたばこは卵子だけではなく、ほかにも様々な悪影響を及ぼします。
特に妊娠中の煙草はNGです。ですから、この先、妊娠を考えるなら、早めにタバコはやめてしまうのがお勧めです。
排卵から受精までの流れ
卵胞から排卵された卵子は卵管采(さい)より卵管内に取り込まれて、精子に出会い、受精します。この過程で医療の力を借りるのが体外受精になります。
排卵から受精の過程は上手くいっているのか?どうなのかは検査では知ることが出来ません。その為、タイミング法や人工授精を何度も行っても妊娠に至らない場合は、この過程で何か異常はないのか?ということも体外受精を行う事でわかることもあります。
卵管内で受精をした受精卵は分割を繰り返しながら、子宮内膜に着床します。ここで無事に着床すれば妊娠が成立します。ただし、なんらかの要因で卵管が詰まっている場合、精子と卵子が上手く出会う事が出来ません。
卵管が詰まっているかどうかは検査をしてみないとわかりません。その為、妊娠を望んで1年たっても妊娠に至らない場合は、不妊クリニックで検査をすることを勧められています。
少し専門的な内容になりましたが、いかがでしたでしょうか?
なんとなく言葉だけは知っている、排卵や受精と言う過程は、実はとっても複雑な過程です。これらの過程が一つでも抜け落ちてしまえば、私たちの身体は妊娠に至りません。
また卵子の寿命は諸説あるものの大変短く(一般的に24時間以内と言われている。もっと短い説もある。)、タイミングがずれてしまえば卵子と精子が上手く出会う事が出来ません。
不妊に悩む方の中には、このような身体の仕組みを知らないが為に、うまくタイミングがあわずに中々妊娠に至らず、不妊クリニックで排卵のタイミングを教えて貰う事で、妊娠に至ったという例も耳にします。
現役のネイリストさんたちは、妊娠の前に結婚もまだだもの、ぜんぜん興味ないよ、という方も多いかもしれません。今は、こういった知識をまずは「知っている」だけでもいいんです。
でも、いつか妊娠・出産を望むのであれば、ぜひ自分の身体の仕組みについても興味を持って頂ければと思います。