「ネイルが大好き」だからこそ、もう少しお仕事に専念したいという思いで、ついつい先延ばしにしがちな妊娠・出産。ネイリストの方だけでなく、きっと、仕事が波に乗ってきて面白くもなる頃は、どんな女性でも、「仕事を続けたい」「結婚したとしても、妊娠はもう少し先にしたい」そんな思いを持つ方は多いと思います。
そんな時に出てくる『卵子凍結』という一つの選択。
「結婚はまだ先だとしても、これは考えている」という女性の声もよく聞きます。
ついつい良い面ばかりが取り上げられがちですが、デメリットはないのか?
前々回記事(2016年10月7日投稿):大人の保健室シリーズ②でそんな卵子凍結についてのお話しをさせて頂きましたので、ぜひ読んでみてくださいね。
さて、テレビなどでも特集されることが多くなり、段々と認知も上がってきたこの『卵子凍結』ですが、では、なぜそんなに注目されるようになったのでしょうか?今日は、この背景と共に、そもそもの卵子の仕組みや、卵巣年齢ってなに?ということについて少しお話したいと思います。
なぜ卵子は老化するのか?
皆さんは、2012年ごろに話題になった『卵子の老化』という言葉をご存知ですか?当時はこの言葉に衝撃を受けた、30代後半・40代の女性がたくさんいました。生理さえあれば妊娠出来ると思っていた女性がたくさんいたのです。
卵子は産まれた時に数がきまっており、その後減ることはあっても増える事はありません。
胎児期(お腹の中にいる時期)が最も多くて約700万と言われています。出生時には200万個まで減少し、思春期には20万~30万個まで減少していると言われています。思春期のタイミングで20万個もあれば大丈夫なのでは?と思われがちなのですが…
だいたい一度の生理で数百から千個ぐらいの卵子が減っていきます。月に一度の排卵日で排卵する卵子というのは本当に選ばれた最高の1個の卵子なのです。
それでも実は毎月出産にたどり着く卵子が排卵されるとは限らないそうです。こうやって、卵子の数が減れば減るほど、質の良い卵子も減っていきます。同時に、私たちのお肌や細胞が老化するのと同じように、卵子も老化していくのです。
食事や生活を気を付けることで老化のスピードは遅らせることが出来ても、残念ながら老化自体をとめる事は出来ません。
卵子の老化を加速させるものって何?
いったん老化してしまった卵子を若返らせることは残念ながら無理だと言われています。私たちが出来る事は老化のスピードを遅らせることしかありません。
では、どのような生活が卵子の老化を加速させるのでしょうか?
・添加物の多い偏った食生活
・喫煙
・多量の禁酒
・環境汚染
・睡眠不足
・冷え
・子宮や卵巣の病気
いくつあてはまりましたか?
ついつい忙しい毎日を送っていると不規則な生活をおくりがちですが、卵子の老化を加速させない為にもこの点は一度見直してみることも必要になってきます。
卵子の老化って検査でわからないの?
『卵巣年齢』 を測定できると聞いたことがありますか?
正確に言うと卵巣自体の年齢ではなく、AMH(抗ミュラー管ホルモン)というホルモン値を測定することによって原子卵胞の残りの数を推測する検査になります。卵巣の年齢が何歳ですよとわかる検査ではなく、残りの推測卵子数からおおよその卵巣年齢を推測するものになります。
推測された原子卵胞の数が少なければ少ないほど、残された卵子は少なくなり、妊娠できる期間も短くなると言われています。
それをわかりやすく感じてもらう為に『卵巣年齢』という言葉が使われています。
卵巣年齢は卵子が残っている数であり卵子の質を表すものではない
よく「AMHが低い=残りの卵子数が少ないと卵子の質も悪い」と思われがちですが、一概にはそうは言えません。AMHはあくまでも卵子の残数を予測する値であり、質はわかりません。
ですので、AMHが低くても質の良い卵子が残っていれば妊娠は可能です。ただし、やはり数が少なくなるため妊娠の可能性が下がる事にはかわりありません。
いかがでしたか?「卵子の老化」と言われても中々ピンとこないかもしれませんが、日常生活の少しの注意で老化の加速を緩やかにすることは可能です。
今は妊娠・出産を考える事が出来なくても、『卵巣凍結』という話題の根本にある、「卵子のしくみ」をきちんと頭に置き、日常生活の習慣から老化のスピードは遅らせることが出来ます。
また、不妊治療を始める事があれば、最初にこのAMHの値を測定することによってその後の治療方法の決定にも役に立ちます。
「仕事だけしか考えられない」という時期に、ほかのことにまで頭が回らないのは当然なんです。ただ、知っているのと知らないのではやはり違う。特に女性はその先の人生にまで大きく関わってくる知識として、この記事を少し頭の片隅においてもらええばと思います。