「ネイルが大好き」大好きだからこそいつまでもお仕事を続けたい。
今は結婚や家族を持つことを考えるのではなく、大好きなネイルのお仕事に没頭したい、
そんなネイルリストさんもたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
大人の保健室シリーズ①では、年齢による妊娠率の低下や不妊治療行ったからと言って必ずしも出産にたどり着くわけではないからこそ、いつかの妊娠に備えておくことの大切さをお話しさせて頂きました。
まだ、読まれてない方はぜひこちらの記事を読んでみてくださいね♪
前回記事(2016年9月16日投稿):大人の保健室シリーズ①
とはいえ、やはり今は仕事を優先したい。そんな気持ちもよくわかります。
そんな時に目にする「卵子凍結」という選択肢。身体への負担や、通院への負担や、金銭的な問題や、凍結したらどれぐらいの確率で妊娠できるのか?まだまだわからないことだらけで気にはなるけど、そこで止まってしまっている方はたくさんいるのではないでしょうか?
今回はそんな「卵子凍結」について説明していきたいと思います。
卵子凍結ってなに?
浦安市で少子化対策の一環として助成が始まった「卵子凍結」という選択肢。
元々卵子凍結は抗がん剤治療を行う女性が治療後の妊娠への選択肢を残す為に行われていたものです。その技術をなんらかの事情において、現時点では妊娠を望めない女性に広く適用させようという流れになってきています。
ただし、まだまだ議論がつくされておらず、産婦人科学会では慎重な姿勢を崩してはいません。通常の体外受精においては受精させた卵子を凍結若しくは受精させた周期で使用します。
しかし、この卵子凍結というのは未授精の段階で凍結し、妊娠を望むタイミングで受精卵として子宮内に戻します。
卵子凍結のメリットとは
卵子凍結のメリットはやはり、卵子の老化に対応できることだと言われています。
35歳を過ぎて妊娠率が下がることや染色体異常の発生率があがる要因に卵子の老化があげられます。
若い卵子であればあるほど妊娠しやすい事は事実です。
浦安市では助成の年齢を20歳~34歳と定めています。実際、40歳を過ぎて不妊治療に悩む周りの女性を見て卵子凍結を検討する女性がいるという事も耳にします。
今はお仕事に専念したい、そんな女性にとってはとても魅力的な技術の一つかもしれませんし、実際検討されている方もたくさんおられるかもしれません。
新しい技術に関しては「良い面」ばかりに目が行きがちですが、「未授精卵の卵子凍結」に潜む問題点や課題について考えていきたいと思います。
卵子凍結による妊娠先延ばしの問題点と課題は
・実際卵子凍結にかかる費用はいくらなのか?
・卵子凍結による妊娠率・出産率はどれくらいなのか?
・卵子さえ凍結しておけばいつでも妊娠は可能なのか?
・何個の卵子凍結が必要なのか?
・卵子凍結に伴う身体的負担や時間的負担はどうなのか?
まだまだ始まったばかりの技術であり、データーは非常に少なく実際にはこれからのデーターの積み重ねが必要だとも言われています。その為、卵子凍結による妊娠率もまだまだはっきりせず、様々数値が出ています。
しかし、残念ながら費用をかけて卵子を凍結しても20代や30代前半の自然妊娠率を超えるデーターは出て来ていません。「卵子凍結」をしたからと言って必ず妊娠できるわけではないのです。
また凍結卵子が必ずしも受精し、その後問題なく分割が進むわけではありません。いざ、凍結卵子を使用しようと受精をさせてみたもののうまく受精しない、分割が進まないという事も起こり得ることなのです。
だからこそ、卵子凍結をする場合は可能な限り多くの卵子を凍結しておくことが必要になってきます。
不妊専門のドクターによっては保存卵子は20個以上が望ましいと言われている方もおられます。それでも必ずしも妊娠するわけではないのが現状なのです。
身体的・時間的負担について
また、この卵子を身体から取り出す採卵は身体的にも時間的にも負担の多い技術です。
一度に多くの卵子を採取するために排卵誘発剤というものを用いて卵子を一度に多く育てます。この過程でまれにですが卵巣が過剰に刺激されることでOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を起こすリスクがあります。このOHSSは通常の不妊治療においても排卵誘発剤が引き起こす重大な副作用の一つとしてあげられています。
また、卵子を取り出す採卵は痛みを伴うものでもあります。そして同時に通院という負担もかかってきます。最初の初診から考えると数カ月の通院は必要になってくるのではないかと思います。特に採卵周期の月は排卵誘発剤の注射や卵子の状態の確認の為に頻繁な通院が必要になってきます。
卵子凍結の費用について
浦安市のように公費で助成のある場合は良いのですが、通常は保険が適用されない為にすべてが自己負担となります。
卵子凍結にかかる費用の内訳をみると…
・採卵までにかかる費用
・凍結費用
・保管費用
・体外受精費
・融解費
などがかかってきますし、
・どれだけの個数の卵子を凍結するのか?
・何年卵子を保管してもらうのか?
・体外受精を何回行うのか?
によってもトータルの金額に差は出てきますが、やはり数百万はかかってきます。
特に卵子の保管数が多く、保管年数が長くなればなるほど金額がかさむ病院がほとんどです。
メリット デメリットを知ったうえでどう選択するのか
確かに20代の間に卵子凍結を行っておけば、30代後半・40代前半で出産する可能性は高くなるかもしれません。
凍結卵子があったからこそ、30代は好きな仕事に熱中出来たという声も今後は聞かれてくるでしょう。
しかしながら、妊娠は卵子だけの問題ではありません。
子宮内環境やホルモン状態など様々な因子が複雑にからみあっています。卵子を凍結しておいたら必ず妊娠できるわけでは残念ながらありません。
まだまだスタートしたばかりの技術だからこそ、自分の考えをしっかり持って選択することが大切になってきます。将来自分はどうしたいのか?を20代の間からしっかり考えておくことが必要なのではないのかと思います。
今回は少し難しい話になりましたがいかがでしたでしょうか?
最新技術はついつい良い面ばかりが取り上げられがちですが、様々な面から考えてみる事も大切なのではないかと思います。
そして、今はなかなか考えにくいことであっても、頭のどこかにこんな知識をおいていただき、働き方や、自分の将来像を考えようとするタイミングではぜひ思い出していただければ幸いです。