ネイリストのエデュケーター制度について

ここ数年でネイル業界に浸透した「エデュケーター」という資格。

ブースデモをしたりインスタで自分の作品を発信したりと華やかでキラキラとしたイメージがあり、憧れるかたも多いのではないでしょうか。

実際のところ取った方がいいの?取得するメリットは?難易度は?
エデュケーターについてのリスクにいたるまで徹底解説します!

エデュケーターとは?

エデュケーターという単語はもともと、教育者・教師という意味や、美術館や博物館において教育・普及活動を行う専門家という意味が由来です。

ネイル業界での意味としては、各メーカーの商品商材について専門の知識を持った人のことや、ジェルやアクリル・ハンドケアシステムなどメーカーの推奨する技術や技法を教える権利を有する人という意味合いで使用されます。

似たような意味で、インストラクターというものがあります。

どういったことをするの?

エデュケーターと聞くと、皆さんが思い浮かぶものとしては、ネイルエキスポなどでブースデモをしている人や、ネイルショップで行われるセミナーなどを担当する人達です。メーカーのロゴ入りエプロンの姿を見たこともあるのではないでしょうか。

エデュケーターの主な活動は、メーカーの普及活動です。

ネイリストや一般のお客様に、自分の所属するメーカーの商品や技法をデモンストレーションし、使用方法を教えることによって、商品の魅力を知ってもらい、自社商品の販路拡大が目的です。

活動にあたっては所定の材料を使うのはもちろん、服装や手技、筆の持ち方にいたるまでメーカーが定めた細かい決まりがあります。

本来であればこれらの活動は自社スタッフが行うのが一般的ですが、人数や活動する場などに限りがあります。そこで、メーカーの認定したエデュケーターに代わりに普及活動を行ってもらう、ということになります。

エデュケーターシステムの仕組み

実はこのエデュケーター、ネイル先進国のアメリカではごく当たり前の存在です。アメリカのネイル老舗メーカーであるEZ-flowやOPIなどは10年以上も前からエデュケーターシステムを取り入れています。

ジェルネイルのブームによりここ10年程の間に日本国産メーカーのネイル商品が爆発的に増えた影響で、日本でも一般的となりました。

エデュケーターになるには、各メーカーの開催するエデュケーターシステムを受けなければいけません。レベルアップするたびに昇格テストのようなものがあり、一定のグレードに昇格すると晴れてエデュケーターの称号がメーカーより与えられます。

難易度はメーカーにより異なります。筆記試験のみの場合もあれば、実技や面接、模擬デモンストレーションがある場合もあります。

人気のメーカーや需要のあるメーカーはそれだけ難易度が上がります。また各メーカーにより活動条件は異なりますが、複数のメーカーのエデュケーターを掛け持ちすることはできない、というのが一般的です。

エデュケータービジネスとは

実はこのエデュケーターというビジネスは、メーカーにとって2つのメリットがあります。

1つ目は商品だけでなくエデュケーターシステムそのものが売れる、2つ目はエンドユーザーだけでなくネイリストもお客に出来るという点です。

前項でご説明したように各メーカーのエデュケーターになるには、よほど影響力のあるネイリストでない限り定めるテストに合格しなければなりません。

そのための受講費用や参加するための道具、交通費など費用がかかります。それを順番に受けていくとかなりのトータルコストになります。

メーカーからすれば、エデュケーターを輩出することでセミナー費用も儲かるし、そのための材料費も儲かる、といった利点があるので、ネイルに限らずビジネスモデルとして確立されているのです。

ビジネスモデルと聞くと、ちょっと難しく聞こえるかもしれませんね。
しかし、華やかな資格のイメージの背景に、こういったメーカー側の意図も知っておいた方が良いでしょう。

エデュケーターを受けるメリット

エデュケーターになると、様々なメリットや可能性があります。

商品が安く買える・特典がある

取得した理由で最も多いのがこちらです。エデュケーターになると、そのメーカーの商品がいつも20%オフ、限定セミナーに出られる等の特典があります。

とくにジェルメーカーのエデュケーターの場合ですと、商品が安く買えるためサロンのコスト削減になるので、高額なセミナー代を払ってでも受講したいという方は非常に多いです。

エデュケーターのランクにより特典が異なるようで、ノーマルなエデュケーターは20%オフだけれど、マスターエデュケーターなら30%オフ、トップエデュケーターは新商品をタダでもらえるなどがあるようです。

ネイル講師として活躍できる

ジェルやアクリルなどのエデュケーター資格であれば、それを活かしてネイルスクール講師としての活躍の場が広がります。
スクール以外に、一般の方むけのジェルアートセミナーなどネイルサロンでレッスンメニューを始めることも可能です。

ネイリストとしての活躍の幅が広がる

エデュケーターを取ると、ネイルエキスポなどのイベントでステージデモをしたり、メーカーの公式SNS等で自身の作品を発信するチャンスがあります。

またエデュケーターから、そのメーカーの本部スタッフとしての就職の道などネイリストとしての可能性を広げてくれるかもしれません。

受講するデメリット

華やかなだけではなく、デメリットももちろんあります。

お金がかかる

エデュケーターになるまでのエデュケーターシステムを順番に受講するために、かなりの費用と時間がかかります。

とくにジェルメーカーの場合なら、ジェルだけでなくライトや専用の筆、ワイプ、スパチュラに至るまでそのメーカーのものでないとダメ!という細かい指定があります。買いそろえていくとかなりの高額になるでしょう。

エデュケーター試験も都心部で開催のことが多いため、地方の方は受験の為に出てくる交通費が必要となります。

取っただけではダメ

有名ネイリストならいざしらず、自分があまり影響力のないネイリストだったら、ただ取るだけでは宝のもちぐされになってしまう可能性大です。

せっかく取るのなら、「特典を活用してサロンの材料費のコスト削減をしたい」「サロンワークだけでなく、ネイルレッスンも始めて売り上げをアップしたい」等の目的がないと、お金と時間の無駄になるでしょう。

倒産するリスク

昨年、かなりのシェアを誇る某ブランドのジェルが成分上の理由で発売終了になったのはご存知の方も多いのではないでしょうか。

「あのジェルがお気に入りだったのに買えなくなって悲しい」と嘆いている方は多いと思います。
実は、あのメーカーが輩出した全国で数百人にものぼるエデュケーターたちも活躍の場を失い大変な目にあったのです。

実は、これはどのメーカーにも起こりえることです。ひとつのメーカーに傾倒するということは万が一それが断たれた時の手段がなくなることです。

メーカーが宣伝する華やかなイメージに惑わされず、今後のリスクも十分に考えて取得を検討する必要があります。

まとめ

今後、ご自身がネイリストとしてどう生きていきたいかによって、取得するしない、どのメーカーを選ぶかが変わってきます。大切なのは手段が目的にならないことです。

エデュケーターになったら必ず高収入が保証されているわけでもありませんし、すぐに有名になれるわけでもありません。取った資格をどうネイリストとして生かしていくかが大切です!

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

同じタグのついた記事

同じカテゴリの記事