ネイリストとしてすでに働いている方、もしくはこれからなりたいと思っている方。ネイル業界の過去~将来についてどれくらい把握しているでしょうか?
「好きなネイルを仕事にしたい」というキラキラとした漠然な感情だけでは食べていけないのが現状です。ビジネスとしてこれからのネイリストに求められる内容をまとめました。
数字で読み解くネイル業界
今のネイル業界全体がどのくらいの売り上げなのか、具体的な数字って知っていますか?
自分のサロンの月売上ならすぐに思い浮かぶ方は多いと思いますが、業界全体の売上を知っている方は多くはありません。
これを把握することでネイル業界の現状が見えてきます。日本ネイリスト協会が2年ごとに刊行している「ネイル白書」というものがあります。
ネイルサロンやスクール、メーカーなどの様々な企業からのアンケート結果やヒアリング、ネイル消費者の意識調査などが載っており、ネイル業界の全体を理解することができます。
2016-2017年のネイル白書をもとに主な情報をご紹介します。
ネイル産業全体の売上
約2250億円
ここでいう産業全体とはネイルサロンだけでなく、ネイルスクールや一般向けのネイル商品など、ネイル業界全体の売り上げを指します。
内訳は以下の通りです。
ネイルサロン市場:約1700億円
ネイル製品市場:約500億円
ネイルスクール市場:約80億
ネイル白書によると、
「業界全体としては緩やかながら拡大している。消費者へのネイルの浸透は進んでいるものの、セルフネイルの広がりなどによって、市場の大きな割合を占めるネイルサロンの売上が緩やかな伸びにとどまっていることが主な要因となっている。」としています。
現在のネイルサロン数
約25,000軒
ネイル白書によると、ネイルサービスを行う店舗(ネイルサロン他)は、2015年現在で24,450店舗だそうです。
「都市部を中心に競争が激しくなっており、市場から撤退する店舗も多いものの、依然として参入する店舗数が撤退数を上回ると予想されており、今後も施設数は増加すると思われる。
ネイルサービスの販売金額は、2015年で1,655億円となっている。出店数の鈍化に伴って販売金額の伸びも低いものの、依然として市場は拡大している。」と書かれています。
ネイル白書のリサーチでは網羅しきれない自宅サロンなどの個人店や、店舗業態を持たない出張ネイルなどの数も入れると、もう少し増えると思います。
ネイル業界を振り返ると
ビジネスは「草創期→成長期→爛熟期→衰退期」の曲線を描くと言われています。今日までの日本のネイル業界の流れをざっくりとまとめてみました。
ジェルネイル技術が日本に入ってきて流行りはじめたのが2000年ごろでした。
このころはネイリストが少なく、スカルプチュアなども流行っていたので客単価も高額でした。高い技術を持ったネイリストはあちこちでひっぱりだこで高収入が得られる時代でした。
その後ネイルサロンが増加してゆき、それに伴いネイリスト人口が増えてきたのが2005年ぐらいです。
ネイルサロンが増えることにより利用者も増えサロン業界は右肩上がりの時代でした。
サロンを利用していた人もネイルの仕事に興味を持ちスクールも大盛況の時代です。
ジェルブームの流れで国産品のジェルメーカーが爆発的に増え材料コストが抑えられたこと、急激に増加したネイルサロンにより、「定額コース」「やり放題」など施術単価が下がってきます。
価格競争が激化し始めたのが2010年ごろになります。
サロンの価格競争を受けてネイリストの待遇が悪化し、さらにはネイリストになりたい人が減少しスクール市場が減少していきます。
一方でネット動画などの普及によりセルフネイル市場が盛り上がりを見せたのが2015年ごろです。
そして現在
2018年、今のネイル業界はどうでしょうか。
ネイルサロンは町中から姿を消していますか?ネイルをしている人は全くいなくなってしまったでしょうか?ネイル求人は全くないという状況でしょうか。
応えはNOですね。
今まではネイルスクールを卒業できたら必ずどこかに就職出来てお給料がもらえたし、数年働いたあとに独立開業したら人並みには稼げた時代でした。
「え?これからは独立開業すらできない時代なの?」
そんなことはありません。これからの時代でもネイリストとして稼ぐ可能性は十分にあります。しかし、現在はこれまでのやり方では通用しない時代になっているのです。
これからのネイリストに求められること
今後のネイル業界はどんどん淘汰されていきます。
むしろ、かつての爆発的増加が異常なだけで、今後は本当に良いサロン・良いネイリストだけが生き残れる時代となったのです。
これまでは、より上位の検定や資格を持っていたりサロンワーク経験年数がもてはやされる時代でしたが、
現在は資格や経験年数よりもネイリストの人柄や生き方など「個人の信用度」が重視される時代となっています。
ただネイル技術を提供するだけ、個人の利益を追求するだけでなく、接客術や商品知識・サロン経営スキル、社会貢献や人材育成など、勉強する分野はたくさんありますし、これら全てを完璧にできているネイリストはまだまだ少ないです。
逆に言うとこういったことができていて、きちんとポリシーを持って運営し常に情報発信を続けられ、世間的にも信用の高いネイリストやネイルサロンこそがこれからの時代に生き残れると言えます。
他にはない、圧倒的な自分だけの強みを見つけて、信用を勝ち取りましょう。