私はサロンワークだけでなく、ネイルスクールで講師の仕事もさせて頂いています。
サロン就職希望の生徒さんによく聞かれる質問のひとつが、「1級って受けたほうがいいですか?」というもの。
この質問の裏にかくされた最近の検定事情について、キャリア17年ネイルサロン経営&ネイルスクール講師が解説します。
スクールに通う=プロになるではない時代
10年以上も前なら、ネイルスクールで学ぶ=サロン就職する=1級まで取得して当たり前、という時代でした。
しかし現在はセルフジェルの流行りもあってか、必ずしもネイルを学ぶ=サロンに就職するとは限らない時代です。
最初から1級を目標にせず、まずは趣味の延長で3級を受けて、受かったら2級をやってみて、そのままモチベーションが続くようだったらサロン就職や1級も挑戦、という生徒さんが増えてきています。
冒頭でご紹介したネイルスクールの生徒さん(Aさんとしましょう)もその一人。
3級取得後2級に挑戦、2度目のチャレンジで合格をした方です。そのタイミングで、「次は1級を受けるの?」と聞いたところ、「受けた方が良いんですか?」と聞かれたのです。
スカルプって必要?
現在のサロンワークは、圧倒的にジェルネイルが主流です。折れた爪の長さ出しもジェルスカルプチュアで出来ますし、アクリルスカルプチュアを取り扱っていないサロンも増えています。
このような状況なので、1級のアクリルスカルプチュアは習わなくてもサロン就職は可能な時代になってきました。さらには、1級検定は難易度が低く合格率も低いです。
先ほどのAさんの場合、ただでさえ2級が大変だったのに、これ以上検定練習をしたくないと思ってしまうのもわかります。サロンワークでもどんどん影をひそめるアクリルなので、興味を持つ機会も減り習う意味を見出せない、と感じる人も多いようです。
結局のところ、1級はあった方がいいの?
ネイルスクール講師の立場から言わせていただくと、「1級まで取得するべき」です。
しかし、ネイリスト1個人としての意見は「人による」です。
取得するメリットとしては、やはりジェルとネイルケアしかできない状態でサロンワークに出るよりも、アクリルをマスターしたネイリストの方が、溶剤の知識なども豊富ですし、美しいフォルムの理解などもなされていて幅広いお客様に対応することができます。
やがて現場を離れ講師の道へ、というように仕事の幅も広がります。
逆に、取得しないメリットは、自分の得意に集中できるということです。「好きこそものの上手なれ」というように、人は好きなことは上達が早いです。
しかしアクリルに興味がもてなかったり、1級練習にしぶしぶお金と時間を費やしているくらいなら、誰にもマネできないアートを考え、ネイリストとしての個性を売った方が良い場合もあります。
今後どんなネイリストとして生きていきたいか?
10年前と異なり、ネイル業界は大きく変わっています。
かつては1級取得者でないと就職できなかったのが、いまやスクールさえ出ていなくても(条件はさておき)ネイリストとして就職できる時代になりました。
また、認定講師でも安定収入が得られない人がいる一方で、1級を取得していなくてもインスタなどから火がついて活躍している人もいます。
2級までの基礎技術がマスターできたタイミングで、一度自分が何が得意か、何が強みかを整理し、今後どんなネイリストとして生きていくかを考えてみることをおススメします。
まとめ
ネイル検定1級は年に2回実施です。
受験するにはお金や時間、メンタルの問題など覚悟が必要です。
「スクールの先生がすすめたから」
「周りの人が受験しているから」
という漠然とした理由だけで受験をしてしまうと、練習が辛く苦しいものになってしまいます。
逆に、自分がどんなネイリストとして生きていくかが決まっていて、そのために1級を絶対に取得する!と決断ができている人は、練習そのものも楽しくやっています。
あなたが今受けようとしている「検定1級」は、あなたのネイリスト人生において本当に必要か。受験を決める前に是非、自分を見つめなおしてみてくださいね!