私はここ数年、お得意さまにお贈りするお年賀にはテーマを設けています。例えば昨年、お世話になった方へご用意させていただいたお品は、銀座菊廼舎-きくのやさんでご用意させていただきました。創業明治23年の江戸和菓子屋さんでセレクトしたのは、お土産に最適な「冨貴寄」。小さくて可愛らしい干菓子が約30種類詰めてあるものです。菊廼舎の代表銘菓ということもあり、お贈りさせていただいた方々には、それぞれ心からの「ありがとう」を頂けた気がして・・・おります笑。さて、この話がいったい、接客というワードのどこにつながっていくのか、少しお付き合いください。
今回の贈り物のテーマに絞ってお話すると、コンセプトは”輪”。ひとつのものを、みんなでつまむ。
そこで生まれる会話を想像しながら選びました。
子供達がいるご家族だったら「わたしはピンクの金平糖がいい!」「僕は変な形のクッキー!」とかね。社内の場合でも昔ながらの素朴なお菓子です。きっと、「おばあちゃんがおやつにくれた」という想い出のある方もいるはずだし、あえて、ちり紙に包んで、ご家族に持って帰っても面白い。そんな事まで、思考が巡りました(笑)この、まあるい缶を開けた瞬間、なにかを感じて、顔と心が、パァっと明るくなっていただけたら、喜んでいただけたら、何よりもうれしいですね。
実は、この贈り物って語源が面白いんです。
ラテン語の「sentīre」という単語が語源。これは、「感じる」を意味する。
つまり、その物を送る側も、もらう側もそのものから何かを感じれるかどうか?ということ。物を選ぶとき、相手がその物を使ったり、食べたりする瞬間がリアルに想像できたら、大成功な贈り物につながるかな、と想いながら毎回セレクトしています。これは、接し方は違えども、私にとっては心をこめた接客であり、大事な時間です。
「相手を想いながら」「喜んでもらいたい」という気持ちが原動力になって行動することには、何の裏表もなく、純粋な気持ちそのものが表れます。それは楽しいこともあれば、チャレンジである場合もあるでしょう、でも、むしろ、そんな気持ちに触れて、嫌だと思う人はいませんよね。だからこそ、その気持ちをもらう側も「感じる」ことができるわけです。ここできっと初めて「満足度の高い接客」のキャッチボールができるのではないかとも。
お客様を思って努力することは確実に伝わる
もし、接客に何か行き詰まりを感じていたら、「贈る相手の笑顔を想像する」ことをまずはやってみてください。
・そのときの相手は何をしてますか?
・何で喜んでいる姿が見えますか?
・その時に周りにあるものは何ですか?
そんな順序で連想すると案外その人のイメージに色がついてきて、何を求められているかも何となく伝わってきたりします。その結果、もし、最初にパッと口をついて出た言葉が、お客様にとってはちょっと違ったことであっても、どれだけ相手のことを思ったかは、態度にも言葉にも必ず出ますし、伝わるはずですから、マイナスに捉えることはないと思います。そこはしっかりと確信を持って、お客様と対峙してもらいつつ、もちろんここに技術がついてくればもう何も言うことはなし、でも、技術があっても、気持ちがなければ、接客とは言いません。
あなたしかできない、お客様への贈り物はきっとあると思います。少しでも接客で悩んでいる方のヒントになれば幸いです。