美容業界のなかでも、なってみたいと思う人が多いのがネイリストです。
美容師やアイリストのように国家資格が必要という訳ではないので別業界からの転職がしやすいのも理由です。
しかし国が定めた学校や免許が日本には存在しないので、ネイリストとして働くのに必要な資格や、技術を学ぶためのスクールや金額、実際に働くにあたっての基準が明確にされていないため、ネイリストとしての一歩を踏み出せない方も多くいます。
今回はネイリストとして就職するためのステップを、ネイリスト歴17年のベテランネイル講師が徹底解説致します。
学生の方はもちろん、ネイル業界へ転職希望の方や、子育てをしながらあいた時間にネイリストして働いてみたいとお考えのママも是非参考にしてみて下さいね!
目次
ネイリストになるための基本的な3ステップ
ネイリストになるための大きなステップは、
・スクールで技術を身に着ける
・ネイルの資格を取得する
・サロンに就職する
以上の三つです。では一つずつ説明してゆきましょう。
①スクールで技術を身に着ける
日本においてネイリストは免許制度ではないので、技術があれば誰でもなることができます。
動画や雑誌などで独学で学んだり、DVD学習の通信教育で技術を身に着ける方もいらっしゃいますが、身に着けることができる技術に限界があります。
これからプロとして幅広いお客様に施術をするのなら、専門のスクールで学ぶことをおススメします。
②資格を取得する
日本ではネイルの免許というものはありません。かわりに、正しい技術を取得しているということを証明するネイルの検定試験というものが存在します。
これからサロンへ就職したり開業するにあたって「私はきちんとした技術を持っていますよ」と示すためにも、ネイルの検定を所持していることが必須となっています。
検定試験に関しては後ほどさらに詳しくご紹介します。
③ネイルサロンに就職
スクールで技術を習得し、検定試験を取得したらネイルサロンへの就職活動を行います。内定が出れば晴れてネイリストとしてデビュー!ということになります。
独立開業をされる方も、サロンワークを学ぶために一度はサロンに就職し経験を積まれる方が多いです。
以上がネイリストとして働くまでの大きな道のりです。次項では、ネイルの検定試験についてご説明します。
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ネイリストに必要な資格
日本には様々な運営団体がネイルの資格試験を行っています。運営団体の規模によりさまざまですが、圧倒的に知名度の高い検定試験は以下の通りです。
・JNECネイリスト技能検定(ネイル検定)1・2・3級
・JNAジェルネイル技能検定(ジェル検定)初・中・上級
・ネイルサロン衛生管理士
サロンワークをするためにはどの資格から取得してゆけばよいのでしょうか?
JNECネイリスト技能検定
内閣府の認定を受けた公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターが運営している検定試験です。ネイルの検定試験では日本で一番歴史と知名度があり、検定所持者も圧倒的に多いです。試験は実技と筆記試験があり、難易度順に以下の通りとなります。
JNECネイリスト技能検定3級
試験概要 | ネイルの基礎的な技術と知識(ネイルケアカラー,アート) |
実施時期 | 年4回(例年1,4,7,10月) |
受験資格 | 義務教育修了者 |
合格率 | 83.42% |
JNECネイリスト技能検定2級
試験概要 | サロンワークで通用するネイルケアカラー技術と知識(ネイルケアカラー、チップラップ) |
実施時期 | 年4回(例年1,4,7,10月) |
受験資格 | ネイリスト技能検定3級取得者 |
合格率 | 39.99% |
JNECネイリスト技能検定1級
試験概要 | トップレベルのネイリストとして通用するアクリルイクステンション技術と知識(アクリルスカルプチュア、アクリルチップオーバーレイ、ミックスメディアアート) |
実施時期 | 年2回(例年4,10月) |
受験資格 | ネイリスト技能検定2級取得者 |
合格率 | 36.77% |
検定試験は飛び級ができず、3級から受験になります。今後ネイリストとしてサロンワークをするなら、まずはネイル検定2級まで取得することをおススメします。
3級は正しく手順と技術が出来ていれば大半の方が合格ができますが、2級は「プロとしてお金をもらえるレベル」を要求されます。
ネイルサロンの求人でも「ネイル検定2級以上」と応募条件を定めていることが多いです。まずは2級取得を目指しましょう。
また、その上の1級ではアクリルを用いたイクステンションを行います。2級までしか学んでないネイリストだとアクリルのスカルプチュア技術がサロンワークではできません。
しかし、1級所持者の場合スカルプチュアが出来ることがサロン就職の際にも大きなアピールポイントになりますし、サロンによっては1級所持手当などが付いたりお給料にも差が出てきます。
以上から、サロン就職の絶対条件は2級取得、より好条件で就職をするには1級まで取得することをおススメします。
JNAジェルネイル技能検定試験
先述したネイル検定の運営団体の前身であった日本ネイリスト協会が主催している、ジェルネイルに特化した検定試験です。昨今のジェルブームで、プロネイリストだけでなく一般の方でも受験者が増えています。試験は実技と筆記試験があり、難易度順に以下の通りとなります。
JNAジェルネイル技能検定初級
試験概要 | ジェルネイルの基礎的な技術と知識(ネイルケアカラー,ジェルカラー,ジェルアート) |
実施時期 | 年2回(例年6,12月) |
受験資格 | 義務教育修了者 |
その他 | ネイリスト技能検定3級以上を取得により実技試験第1課題(ネイルケア)は免除。 |
JNAジェルネイル技能検定中級
試験概要 | サロンワークで通用するネイルケアカラーとジェル技術(ネイルケアカラー,ジェルオフ,ジェルスカルプチュア,ジェルグラデーション,ジェルフレンチ) |
実施時期 | 年2回(例年6,12月) |
受験資格 | JNAジェルネイル技能検定試験(初級)合格者 |
その他 | ネイリスト技能検定2級以上を取得により実技試験第1課題(ネイルケア)は免除。 |
JNAジェルネイル技能検定上級
試験概要 | ジェルネイルのスペシャリストとして通用する総合的な技術と知識(ジェルスカルプチュア,ジェルチップオーバーレイ,ジェルフレンチ,ジェルアート) |
実施時期 | 年2回(例年6,12月) |
受験資格 | JNAジェルネイル技能検定試験(中級)合格者 |
その他 | なし |
ネイル検定と同様飛び級はできず初級から受験になります。
すでにネイル検定の3級や2級を持っている方の場合、試験内容の第一課題が免除になる制度があります。効率よく受験するためには、まずはネイル検定3級から受験することをおススメします。
検定は試験内容からわかる通り、ジェルだけできれば良いというものではなく、合わせてネイルケアの技術と知識も要求されます。よって、サロンワークに通用するレベルだと中級以上の取得を目指しましょう!
ネイルサロン衛生管理士
ジェルネイル技能検定試験と同様に日本ネイリスト協会が主催している「ネイルサロンにおける衛生管理自主基準」を普及し安全で安心なネイルサービスを提供するための知識の取得を目的とした資格です。
資格制度の目的 | ネイルサロンにおける衛生管理自主基準を普及し、サロン従事者への啓発活動を通じて国民の健康を守る安全で安心なネイルサービスの普及と公衆衛生の向上に資することを目的。 |
実施時期/実施場所 | 毎月開催/全国のJNA認定校 |
受験資格 | 18歳以上の方/ネイルサロン勤務経験は問わない |
資格取得者数 | 64,587名(※2017年9月末時点) |
こちらも国家資格ではありませんが、サロンでネイルサービスを提供する際の知識を身に着けることができますし、開業する際には衛生管理に取り組んでいることをディプロマを通じてアピールすることが可能です。
また、ネイルサロン衛生管理士の資格取得はJNA認定講師資格の受験時やJNA認定サロン登録の際の申請条件となっています。
ネイル技術を学ぶには?
以上説明してきたネイルの資格試験ですが、実際取得するためにはどのように勉強したら良いのでしょうか?
ネイルスクール
ネイリストになりたい方が最も多く選択する、ネイル講師から直接学ぶ形式です。特色も学校によりさまざまで、授業形態はマンツーマン、少人数、大人数のクラス制などがあります。
技術を教えてくれる講師はサロンワーク経験者だったり、ネイル検定の試験官経験のあるJNA認定講師が指導する場合もあります。
なかでも認定校と呼ばれるスクールは講師陣やカリキュラムなど日本ネイリスト協会の一定基準を満たしているので、ジェル検定が校内で受験できるというメリットがあります。
またスクールによってはスチューデントサロンという提携している在校生が働くネイルサロンでのサロン実習ができたり、卒業後も就職や開業のサポートをしてくれるスクールもあります。
・ヒューマンアカデミーのネイリスト講座
全国29校舎の拠点をもつ業界最大級のネイルスクールです。
目的に合わせたさまざまなコースが用意されており、趣味で楽しむ方、未経験から就職を目指す方やサロンの開業を目指す方など、どんな方でも自分に合ったコースを見つけることができます。
通学と自宅でのeラーニング(映像)を組み合わせた新しい学習方法も提案しており、
ネイリストとして現場で活躍するためのスキルを身につける、今の時代に合わせた取り組みとして期待がもてます。
拠点数が多く、通いやすいのも大手ならではなので助かります。
ネイル通信講座
スクールに通学する時間がとれない、小さいお子さんがいて授業が受けられない等の方には通信講座で学ぶ方法があります。入校時に教材やDVDなど必要なものを一式購入します。自宅でDVDを見ながら学習するスタイルです。
運営形態も様々で、通信教育大手企業が行っているものから個人ネイルスクールが小規模で行っているものまで様々です。大手ネイルスクールが行っている通信コースなら検定直前は通学生徒と同様にスクーリングサポートが付いていることもあります。
以下、おすすめのネイル通信講座をご紹介します。
・PBアカデミー ジェルネイル認定講師資格取得講座
PBアカデミーが開講している、ジェルネイル認定講師資格取得講座。
ジェルネイルの技術を学ぶために必要な教材はすべて揃っており、すぐに始めることができるだけでなく、実際にスクールで使用しているテキストで学ぶことができるため、未経験の方でも安心して始めることができます。
また、最大の特徴として講座の課題を提出し合格することで、PBアカデミーの「ジェルネイル認定講師資格」を取得できるということがあげられます。就職やサロン開業の際の技能の証明として活用していただくことができます。
・ヒューマンアカデミー たのまな
あるゆる分野の資格取得の講座を開設している専門校の最大手ヒューマンアカデミーによるネイルの通信講座。
ネイルの通信講座だけでも7種類のコースを設けており、趣味として始める人から、ネイルを仕事にしたいプロを目指す方まで目的に合わせた講座をお選びいただけます。また、ネイル検定取得後の就職相談やサロン開業のサポートも充実しているのも大手ならではの魅力です。
自分のペースで進めていくとはいっても検定に合格できるか不安、という方にも安心して受講していただけるように「2級合格保証」が付いているのも魅力です。また、検定対策にとどまらないヒューマンアカデミーのネイル講座は何といっても就職や開業のサポートが充実していることです。
スクールと通信、どっちが良い?
お仕事やご家庭などの事情から、通学か通信かを迷われる方が多くいらっしゃいます。ここでは通学スクールと通信のメリットをまとめてみました。
通学スクール
【メリット】
・直接技術を見て学ぶことができ質問ができる。
・自分の出来ていないところを指導してくれるので上達のスピードが速い。
・就職サポートやスチューデントサロン実習、合格するまで何度でも受講が出来るなどの合格保証制度など、スクール独自の手厚いサポートが受けられる。
・スクールで同じ目標を持つネイル友達が作りやすく、一緒に切磋琢磨しあえる。
【デメリット】
・通信に比べると費用が高額である。JNA認定校になるとさらにアップする。
・授業開講時間に合わせて通学するのでスケジュールを調整しなければならない。
通信教育
【メリット】
・学費が安い。DVDなどで授業をするので校舎や講師人件費コストがかかっていないため、通学スクールの約半額以下で学ぶことができる。
・わざわざ通学しなくても自分の好きな時に学ぶことが出来るので遠方の方や小さいお子さんがいらっしゃる方なども学べる。
・まずは趣味程度で気軽に始めたい方にもハードルが低く始められる。
【デメリット】
・直接指導をしてもらえないので技術の上達が遅い。
・一人での学習となるためモチベーションの維持が難しい。
・ネイル検定1級など難易度の高い資格を目指すのなら、通信で学ぶのには限界があり、スクールに通いなおす可能性がある。
以上から、レベルで始めるなら通信、本気でプロになるならスクールがおすすめです。
ネイルスクールにかかる費用は?
具体的にどれくらいの費用がかかるのでしょうか?スクールや受講コースによっても異なりますが、ここでは通学スクールに通った場合のおおまかな金額をご説明します。
受講料
・検定2級・ジェル検定初級レベル【サロン就職レベル】(90時間~120時間)
→約20万~30万
・検定1級・ジェル検定上級レベル【即戦力レベル】(240時間~320時間)
→約60万~90万
学校規模や取得できる資格の種類、授業時間によっても異なりますが、検定1級と上級まですべての資格を取得するためには100万円くらいを考えた方がよいでしょう。
教材費
スクールにより教材が別途購入・その都度買い足しの場合と、授業時にはスクールの教材が使い放題の場合があります。使い放題の場合でも自宅で練習するときは購入が必要です。
ジェルやポリッシュ、やすり類などネイル材料は消耗品がほとんどですので、最初は約10万ほどは見ておいた方がよいでしょう。
スクール生になると、プロしか入店ができない問屋さんへの登録ができるようになり、一般価格より安く購入できるメリットもありますよ!
検定受験料
検定試験の受験量は以下の通りとなります。
JNECネイル検定
・1級→11,000円
・2級→8,800円
・3級→6,600円
JNAジェルネイル検定試験
・上級→16,200円
・中級→12,960円
・初級→9,720円
総額
ここまででかかる金額の総計は以下の通りです。
ネイル1級・ジェル上級→90万円前後
ネイル2級・ジェル初級→50万円前後
スクールによっては分割払いができたりローンを組める場合もあります。まずは検討しているスクールに費用の相談をしてみましょう。
どれくらい通えば卒業できるの?
ここまででスクールの種類と費用をご説明しました。では、実際どれくらいの期間を通えば卒業できるのでしょうか?
ここでは1コマ授業を2時間とし、一日2コマ受講を週2回通った場合と想定して、通学日数を算出しました。
ネイルサロンに就職ができるレベル
目安通学時間:約100時間、約1年
ネイルサロンに就職するための必須条件が検定2級とジェル初級です。
取得するための平均時間は、2級=50~100時間、初級20~30時間、合計が約100時間程度となります。
サロン即戦力レベル
目安通学時間:約300時間、約1年~1年半
即戦力レベルとは、全ての技術をマスターしているレベルなので検定1級とジェル検定上級まで取得しているレベルになります。
取得のための平均時間は1級まで=120~240時間、上級まで50~70時間、合計が約300時間程度となります。
以上はあくまでも目安となります。
人によっては通うペースを早めたりして3か月~6か月ほどの短期集中で受講される方もいらっしゃいます。また、試験結果によっては不合格になってしまうことも考えられます。
その場合受講期間が長くなります。最低でも1年は見ておいたほうが良いでしょう。
いますぐネイリストになれる裏技は!?
これまでご説明してきたように、ネイリストになるには最低でも一年ほど、費用も数十万程度かかることがわかりました。
しかし、「今すぐネイリストになりたい!」という方の為に、費用がかからなかったり、最短でネイリストになれる裏技があるのです!
未経験者OKの求人に着目!
ネイリストの求人情報をこまめにチェックしていると、まれに「未経験・無資格者OK」という求人がでています。このようなサロンの場合、会社で設けている技術研修を受けたのちネイリストデビューとなることが多いです。
採用の基準は社会人経験や人柄重視としていることが多いので、未経験無資格でもサロンワークできる道は開けています。
気を付けたいのは、研修費用と称して講習費を請求されたり、研修中は無給だったり、会社の助成金目当てですぐに解雇をするような悪質なサロンのトラブルも多く報告されています。このようなサロンに就職を希望されている場合は雇用条件をよく確認しましょう。
ジェル検定だけを取得しサロンデビュー
昨今はジェルネイルブームの影響で、ジェル専門店の求人が大変多くなっています。このようなサロンなら、ジェルの知識と技術があれば比較的就職しやすいです。
ジェル検定のみに絞って学べば短期間での就職が可能です。スクールはジェル検定対策のみのコースに絞って探しましょう。時間数としては50~70時間程度になるので、フリータイム制であれば2か月程度で修了が可能です。
その後、未経験・無資格者でもOKのジェル専門店を探し応募をします。
もちろん、ネイル検定1級所持者よりはサロン就活は厳しいものになりますが、このようにジェル技術に特化して探すこともできます。
コスパ重視!とにかく安く学んで就職するには?
多少時間はかかってもいいから、とにかく費用を抑えて就職したい!という方は、通信講座で2級までを取得がおススメです。
通信講座は通学にくらべて技術習得に時間はかかるのですが、合格するまで検定サポートを無制限で受けられる「検定合格保証制度」を
設けている講座もあります。
合格するまで多少時間はかかってしまうかもしれませんが、通信の2級コースは通学スクールの約半額程度、約8万~15万程度で受講することができます。
とにかく安く資格を取得してネイリストになりたい!という方は、合格保証付きの通信講座で2級までを取得するのもおススメです。
⇒今のうちにチェック!未経験ネイリスト大歓迎のネイルサロン求人一覧
さいごに
ここまで資格やスクールについてをご紹介致しました。きちんとした技術を学び好条件でネイルサロンに就職したいのなら、やはり通学のネイルスクールで認定講師の先生に教えてもらうのが近道です。
お金を優先するあまり、通ったスクールでは満足がいかず結局別のスクールに通いなおすハメになってしまった、ということがないようにしたいですね。
最初は費用がかかるかと思いますが、稼ぐネイリストになるための「投資」と思って、納得のいくネイルスクールを探してください!
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