幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」を知っていますか。私たちの脳内で分泌されているものなのですが、このセロトニンがきちんと分泌されることで朝から目覚めが良く、1日を晴れやかな気持ちで過ごすことができます。
しかし、セロトニンは生活環境によって分泌量が増減することもあり、減り方によってはうつ病などの病気を発症してしまうおそれも。
毎日をいきいきと過ごせるよう、セロトニンのはたらきについて知っていきましょう。
幸せホルモンのセロトニンとは
セロトニンとは?
セロトニンとは脳内神経伝達物質のひとつ。脳幹にあるセロトニン神経が分泌していて、イライラやウキウキ、くよくよなど人間の感情をコントロールして安定させてくれるはたらきを持つ重要なものです。
「幸せホルモン」と呼ばれてはいますが、厳密にはホルモンではありません。ホルモンは体内の臓器から分泌され、少量でも身体に大きな影響を与えます。
セロトニンは脳内に分泌される物質ですが、ホルモンと同じく身体に大きな影響を与えることから「幸せホルモン」と呼ばれるようになりました。
なぜ「幸せホルモン」と呼ばれるのか
セロトニンが正常に分泌されると、頭がスッキリして集中力が高まります。ちょっとした失敗でくよくよしたり、対人関係でイライラしたりというのは日常誰でもあると思いますが、長く引きずることなく心を安定させてくれます。
また、自律神経が乱れると交感神経(緊張)と副交感神経(リラックス)の切り替えがうまくできず、体調不良などを引き起こしますが、セロトニンはこれを整えるはたらきもあるため、昼間は元気に活動できて、夜はしっかり眠れる体を保てます。
頭が冴えて体調もいいと何でも楽しめるので、結果として幸福感を得られますよね。気持ちに余裕があるので他人に優しくなれたり、自分磨きに力を入れたりと内面からも女子力を上げることができます。
セロトニンが足りないとどうなる?
セロトニン不足で起こる症状
では、セロトニンが不足するとどのようなことが起こるのでしょうか。集中できない、イライラする、不安感が強くなる、疲れやすい、やる気が出ない、落ち込みやすい、よく眠れない、といった症状が出てきます。
症状の重さは人それぞれですが、ひどくなるとうつ病など精神面の病気になってしまうことも。しっかり休んだら元気になった、というのであれば、ちょっと疲れがたまっていたのかもしれません。
しかし、休養をとっても改善されない場合は、セロトニンが不足していることも考えられます。
セロトニンが不足するワケは?
なぜセロトニンは不足してしまうのか?それは私たちの生活環境に問題があります。
つい遅くまでスマホをいじってしまい寝不足になることはありませんか?
デスクワークなどで体を動かすことがあまりなく、運動不足になっていませんか?
職場の人間関係や仕事上で大きなストレスを抱えていたりしませんか?
このような環境がセロトニンのはたらきを悪くしてしまいます。また、最近は日焼けをしたくないからとお日様を避けて暮らす人もいますよね。
適度にお日様の光を浴びることは健康面で大切なことなんです。セロトニンも日光と大きく関係があり、日光不足もセロトニン不足を招く大きな原因のひとつです。
セロトニン不足とうつ病の関係
日常生活に大きな影響を与えるほどの症状があるとしたら、一度病院へ行ってみることをおすすめします。
うつ病と言っても様々な種類がありますが、内因性うつ病と呼ばれるものがセロトニンと大きく関わりを持っていると言われています。
日照時間が短くなる冬にだけ発症する「冬季うつ」も、日光とセロトニンとの関係から引き起こされることが分かっています。
セロトニンを増やすための方法
運動を取り入れる
普段、運動不足を感じている人は日常の中で軽い運動を取り入れてみてください。運動と言っても激しいものを選ぶ必要はありません。
ジョギングやウォーキングなど、簡単で単調な運動でOKです。長い時間を運動に取る必要もありません。セロトニンの活性化が目的の運動なら、長くても30分程度でいいのです。
なかなか時間が取れない人なら、通勤時間に一駅分だけ歩くようにしたり、なるべくエレベーターを使わず階段を使うといった工夫をするといいでしょう。
日光を浴びる
毎日しっかりとお日様の光を浴びましょう。カーテンを閉め切った部屋に1日中いるのは、セロトニンを増やすうえではおすすめできません。朝起きたらカーテンを開けて、しっかりと日光を浴びることで脳にも「活動をはじめよう」と伝わっていきます。
仕事の都合で起床がお昼近くだったとしても、起きたらまずは日光を浴びることを習慣にしていくといいですね。余裕がある日は朝に30分程度のウォーキングをすると、運動と日光浴が同時にできます。
日常に取り入れられる方法も
運動と日光浴はセロトニンを増やすうえで特に大切ですが、他にもセロトニンを意識して取り入れられる方法はあります。たとえば、腹式呼吸でしっかりと息を吸い、きちんと吐くこともセロトニンの活性化につながります。
また、トリプトファンという栄養素を含んでいる食物はセロトニンの分泌にいいと言われています。トリプトファンを含んでいるのは、バナナや大豆製品、乳製品など。
ただし、それだけを食べればいいということではなく、バランスよい食事を意識することが大切です。そして、食べ物だけでセロトニンを増やすことはできません。運動や日光浴もしながら、食事の内容にも気をつけるというのが理想的な方法です。